ボツリヌス療法

ボツリヌス療法とは

ボツリヌス療法とはボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が作り出すタンパク質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を使った治療です。
当院では、リハビリテーションにおいてこのボツリヌス療法を行っております。ボツリヌストキシンを手や足の筋肉に注射することで、筋肉の緊張を解き、その機能を回復させる効果が期待できます。
個人差はありますが、効果は3~4ヶ月持続します。

ボツリヌス療法の効果

ボツリヌス療法では、主に以下のような効果が期待できます。

ボツリヌス療法の効果
  • 筋肉がやわらかくなり、手足を動かしやすくなる
  • 日常生活で困る場面が減り、ストレスが軽減する
  • リハビリテーションの質が向上し、その効果を得やすくなる
  • 関節のこわばり、可動域の減少などを防げる
  • 痛みを感じにくくなる
  • 活動量が増える
  • ご家庭で介護をする方の負担が軽くなる

ボツリヌス療法が適応な
症状・疾患

痙縮について

痙縮とは、脳卒中後によく見られる症状です。筋肉の角の緊張によって、手や足を動かしにくくなる、あるいは意思と関係なく勝手に動いてしまう状態を指します。
具体的には、拳を開けない、肘や手首が内側に曲がる、足指が曲がるといったものが挙げられます。
日常生活に支障が出る他、リハビリテーションの障害になる、見た目が気になるといった問題も抱えます。
ボツリヌス療法は、この痙縮に有効となる治療の1つです。

適応症状・疾患

ボツリヌス療法は、以下のような症状・疾患に有効です。
なお当院では、上肢・下肢の痙縮に対するボツリヌス療法を行っております。

  • 上肢の痙縮
  • 下肢の痙縮
  • 眼瞼痙攣
  • 片側顔面痙攣
  • 痙性斜頸
  • 小児脳性麻痺の下肢痙縮に伴う尖足(2歳以上)
  • 重度の原発性腋窩多汗症
  • 斜視

ボツリヌス療法と
リハビリテーションの併用で
高い治療効果を

ボツリヌス療法とリハビリテーションの併用で高い治療効果をボツリヌス療法によって手や足を動かしやすくなることは、日常生活で大きなメリットを得られるだけでなく、リハビリテーションの質の向上も期待できます。
これまでできなかったメニューに取り組める、これまでより量をこなせる、やる気がアップするといった効果をご実感いただけることと思います。
リハビリテーションの効果をしっかりと得るという意味でも、手足の痙縮でお困りの方には、ボツリヌス療法をおすすめします。

ボツリヌス療法の
副作用や注意事項

副作用

これまで、以下のような副作用が報告されています。通常は一時的なものに留まりますが、症状が長引く場合、異常を感じた場合には、すぐに当院にご連絡ください。

  • 注射部位の腫れ、赤み、痛み
  • 倦怠感、力が入りにくい
  • 吐き気
  • 呼吸がしづらい
  • 全身の赤み
  • 物を飲み込みにくい
  • けいれん

注意事項

  • 過去にボツリヌス療法を一度でも受けたことがある場合、事前に時期・疾患名・投与量をお申し出ください。また発疹などのアレルギーがあった場合にも、お申し出ください。
  • 喘息など慢性的な呼吸器疾患のある方、妊娠中・授乳中の方は、ボツリヌス療法を受けることができません。
  • 併用できなお薬がございますので、お薬手帳をお持ちください。
  • ボツリヌス療法の効果は、3~4ヶ月持続します。効果を持続させるためには、定期的にボツリヌス療法を繰り返す必要があります。
  • 関節が固まる拘縮には直接的な効果はありません。

治療スケジュールと内容

ボツリヌス療法は、リハビリテーションと並行して行います。
基本的なスケジュール、内容をご説明します。

1問診・診察・診断

問診では、症状、既往歴・家族歴、服用中の薬、アレルギーの有無、現在の治療・リハビリの状況などについてお伺いします。
その上で診察を行い、ボツリヌス療法が適切であるかどうかを判断します。

2治療目標の設定

現在困っていること、できるようになりたいことなど、現状と治療目標を共有します。
目標を決めることは、治療を継続するモチベーションとなります。ご遠慮なく、仰ってください。

3初回投与+リハビリテーション

ボツリヌス療法を行い、その直後にリハビリテーションを行います。
またその後も、リハビリテーションを継続します。

3評価・治療の継続の判断

医師が診察し、ボツリヌス療法の効果を評価します。患者さんは、日常生活やリハビリテーションで感じたことを、医師にお伝えください。
ボツリヌス療法の効果の持続期間は、約3~4ヶ月です。ご希望がございましたら、3~4ヶ月ごとに、ボツリヌス療法を繰り返していきます。

ボツリヌス療法の費用

手足の痙縮に対するボツリヌス療法には、保険が適用されます。
注射する部位、数によって異なりますが、1~3割のご負担となります。詳しくは、受診の際にご説明いたします。