心筋症(肥大型・拡張型)

心筋症とは

心筋症とは心筋症とは、心筋(心臓の筋肉)に異常をきたし、心臓のポンプ機能が低下する病気の総称です。
代表的な心筋症に、肥大型心筋症と拡張型心筋症があります。いずれも、不整脈や心不全、突然死の原因となる危険度の高い病気です。

肥大型心筋症

肥大型心筋症心室の心筋が肥大する(厚くなる)心筋症です。高齢者に目立ちますが、幅広い年齢層で認められます。
中でも、心室中隔という部位が肥大すると、全身に送り出される血流が妨げられやすくなります。

症状

ほとんどの症例は、無症状または軽い症状に留まります。

  • 胸の圧迫感
  • 運動時の呼吸困難
  • 動悸、めまい
  • 失神、突然死

原因

主な原因は、心筋の収縮と密接な関係にあるサルコメア蛋白をコードする遺伝子(MYH7、MYBPC3遺伝子)の変異と言われています。
家族性の発症が約半数に認められますが、遺伝子異常がない症例も多くあります。

拡張型心筋症

拡張型心筋症心筋の収縮する力が低下するために、左心室が拡張する心筋症です。心臓のポンプ機能が低下するため、心不全の症状が見られます。
中高年の方によく見られ、加齢とともに進行します。肥大型と同様に、突然死のリスクがあります。

症状

初期にはほぼ無症状ですが、進行すると以下のような症状が現れます。

  • 労作時の息切れ
  • 倦怠感
  • 足のむくみ
  • 呼吸困難
  • 手足の冷え
  • 失神

原因

解明されていない点が多くありますが、心臓の収縮に関連する蛋白質をコードする遺伝子の異常、ウイルス感染、自己免疫異常などが発症に影響しているとの指摘があります。
特に小児期に発症する拡張型心筋症は一般的に予後が思わしくなく、専門家による早期の適切な治療が望まれます。

心筋症(肥大型・拡張型)の検査方法

心筋症が疑われる場合には、主に以下のような検査を行います。

心電図

不整脈の有無を確認したり、狭心症・心筋梗塞を除外するために必要になる検査です。

24時間ホルター心電図

院外で発生する不整脈の発見などに役立ちます。小型の装置を装着した状態で、普段通りに生活をしていただきます。

心臓エコー検査

心臓の動き、血流の状態、心筋の厚さ、心臓の拡大、心臓弁膜症などについて調べることができます。

胸部レントゲン検査

心臓の拡大や肺のうっ血の有無、その程度を調べることができます。

血液検査

全身の臓器で血液が不足すると、血液検査では肝機能や腎機能の異常が認められます。またBNPというホルモンについて調べることで、心不全の程度を把握できます。

心臓CT・MRI検査

心臓CTでは冠動脈の走行や血管の狭窄を調べ、冠動脈疾患の除外に役立てます。
心臓MRIでは、心臓の形態や機能を評価します。

心臓カテーテル検査

手や脚の付け根の血管からカテーテルを挿入し、造影剤を使って心臓の血管の状態を調べます。
冠動脈疾患を除外したり、心筋生検を行うことを主な目的とします。

心筋症(肥大型・拡張型)の治療方法

心筋症の治療には、主に以下のような方法があります。
なお、原因が明らかな二次性心筋症については、その原因(狭心症や心筋梗塞など)の治療が行われます。

薬物治療

肥大型心筋症における薬物療法では、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジソピラミド、シベンゾリンといった心筋の収縮力を抑制するお薬を使用します。
拡張型心筋症における薬物療法では、β遮断薬、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、サクビトリル・バルサルタン、SGLT2阻害薬、利尿薬などのお薬を使用します。

外科的治療

肥大型心筋症では、流出路狭窄を改善する手術、ペースメーカーの植え込み手術などが行われることがあります。
拡張型心筋症では、ペースメーカーや除細動器の植え込み手術が行われることがあります。また場合によっては、左室補助人工心臓の植え込み手術、心臓移植も検討されます。
手術が必要になった場合には、高次医療機関と連携します。手術後は、当院の心臓リハビリテーション外来をご利用ください。

カテーテル治療

肥大型心筋症においては、冠動脈内にアルコールを注入して心筋の肥厚を改善するカテーテル治療として、経皮的中隔心筋焼灼術が行われることがあります。