心臓の働きについて
心臓のもっとも重要な働きは、全身へと血液を送り出す「ポンプ機能」にあります。心筋(心臓の筋肉)が収縮することで、血液を一定のリズムで送り出すことができます。また同時に、心筋の拡張によって、巡ってきた血液を吸い込んでいます。
心臓は常に休みなく動き続けているため、たくさんの酸素・栄養素を必要とします。この心臓で異常が起こると、全身へと血液を送り出すことができなくなり、時に重大な事態を招きます。
心臓病の主な種類
心不全(慢性心不全)
厳密には病名ではなく、心臓のポンプ機能が低下し、血液を送り出せなくなった状態を指します。
高血圧、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症などの病気が隠れている可能性を考え、適切な検査と診断の上、治療を行う必要があります。
狭心症
動脈硬化などを原因として、冠動脈(心臓に血液を送る血管)が狭くなる病気です。心臓が酸素不足に陥り、突然の胸の痛みや胸の締め付け感、動悸、息切れといった症状が引き起こされます。通常、症状は数分~15分程度で治まりますが、必ず医療機関を受診し、診断を受けてください。
心筋梗塞(急性心筋梗塞)
動脈硬化などを原因として、冠動脈が詰まる病気です。詰まった先の心筋は壊死し、二度と元通りにはなりません。最悪の場合には死に至る病気であり、一刻も早い治療が必要です。突然の30分以上の激しい胸の痛み、圧迫感・締め付け感などの症状が見られます。
不整脈
心臓の脈拍に異常をきたしている状態を指します。脈が速くなる「頻脈」、遅くなる「徐脈」、予定外のタイミングで脈が生じる「期外収縮」に分けられます。経過観察で問題ない不整脈もあれば、命に関わる不整脈もあります。不整脈を指摘された方は、一度当院にご相談ください。
心臓弁膜症
血液の逆流を防ぐ働きを持つ心臓の“弁”に異常をきたす病気です。初期症状に乏しいものの、進行すると動悸、息切れ、むくみ、胸痛などの心不全の症状が現れます。健康診断などで心雑音の指摘があり、発見に繋がるケースが目立ちます。
心筋症(肥大型・拡張型)
心筋の異常により、心臓の機能が低下する病気です。心筋が厚くなる「肥大型心筋症」と、心筋が薄くなる「拡張型心筋症」に分けられます。いずれも、呼吸困難、むくみなどの心不全の典型的な症状が見られます。
心臓病の症状と
それぞれ必要な検査
心疾患でよく見られる症状と、その場合に必要になる検査についてご紹介します。
胸痛
胸の痛み、圧迫感、締め付け感などが見られる場合には、狭心症や心筋梗塞といった心疾患が疑われます。
主に、血液検査、心電図検査、胸部レントゲン検査が行われます。また必要に応じて、心臓超音波検査、胸部CT検査などを追加します。
動悸
脈が速い・遅い・飛ぶ、胸の苦しい感じ、ドキドキと拍動が異常に響くといった場合には、不整脈、心房細動、心室頻拍などの病気を疑います。
主に、血液検査、心電図検査、胸部レントゲン検査などを行います。
倦怠感、息切れ、むくみ
など
倦怠感、息切れ、むくみといった症状が続く場合には、心不全およびその原因として高血圧、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症を疑います。
主に、血液検査、血圧測定、心電図検査、胸部レントゲン検査、心臓超音波検査、尿検査などを行います。
どんな時に症状が出た?
受診の際に重要となる情報
心疾患が疑われる場合、その病気によっては一刻を争う事態となります。ただ、もちろんやみくもに検査や治療を行うわけにはいきません。
必要な検査を正確に選択し、病気の早期発見・早期治療に繋げるため、受診の際には可能な範囲で、以下のようなポイントを医師にお伝えください。
- 症状の種類
- 症状が始まった時期、その時期から現在に至るまでの症状の変化
- 症状の頻度、1回あたりの持続時間
- 症状が現れる時の状況(運動をしていた、緊張をしていた、ストレスがあった等)
- 思い当たる原因、きっかけ
- 服用中の薬(お薬手帳をお持ちください)
- 既往歴
- 健康診断などで指摘された異常
心臓病の場合に行う治療法
薬物治療
狭心症で使用する硝酸薬、不整脈で使用する抗不整脈薬、心不全で使用するβブロッカーやレニン・アンジオテンシン系阻害薬、利尿薬、強心薬、血管が閉塞した場合に使用する抗凝固薬・抗血小板薬など、さまざまなお薬があります。
非薬物療法
お薬を使用しない治療です。
心臓リハビリテーション、心臓ペースメーカーの植え込み、除細動器の植え込みなどがこれにあたります。
カテーテル治療
血管内にカテーテルを挿入し、バルーンやステントを活用する治療です。狭心症や心筋梗塞に対するカテーテル治療がよく知られています。近年では心臓弁膜症に対して、人工弁を挿入するカテーテル治療も行われます。
手術
複数の血管に問題がある狭心症・心筋梗塞に対するバイパス手術、心臓弁膜症に対する人工弁置換術、先天性心疾患に対する手術などがあります。
心臓病を予防・悪化させないためにできること
心筋梗塞や大動脈解離の
原因となる動脈硬化を
進行させない
狭心症や心筋梗塞、大動脈解離など、動脈硬化を原因とする心疾患は少なくありません。
適切な栄養バランス・量の食事を摂ること、適度な運動をすること、十分な睡眠をとること、禁煙することなどで動脈硬化を進行させないようにしましょう。
上記の対策は、糖尿病・高血圧症・脂質異常症といった生活習慣病、がんの予防としても有効です。
なるべく心臓に負担を
かけない
心臓に負担をかけないことも重要です。特に、急に体を冷やす行為は心筋梗塞などの原因となります。
- 季節や環境に合わせて衣類や室温を調整しましょう。
- 寒い季節は、浴槽の蓋を取っておく、温水のシャワーを撒くといった方法で、入浴前に浴室を温めましょう。また脱衣所も、暖房器具で温めておくと安心です。
- 熱い風呂やサウナの後に水風呂に入る、いきなり海やプールに飛び込むといったことは避けましょう。
- 運動の前には、十分に準備運動を行いましょう。
- 喫煙、お酒の飲み過ぎ、塩分の摂り過ぎは控えましょう。