高血圧とは
高血圧とは、血圧が正常範囲を超えて持続的に高い状態を指します。具体的には、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と呼びます。原因は遺伝的要因、生活習慣(塩分摂取過多、運動不足、喫煙、アルコール摂取)、ストレスなど多岐にわたります。高血圧は、心臓病、脳卒中、腎臓病など重大な疾患のリスクを高めるため、適切な管理と治療が重要です。
2024年の4月高血圧の
診断基準が変わりました
2024年の4月から、全国健康保険協会の「未治療者への受診勧奨の基準」が、「140mmHg以上/90mmHg以上」から「160mmHg以上/100mmHg以上」へと変更されました。
ただ、これはあくまで“受診勧奨の基準”の変更です。“高血圧という病気の診断基準”はこれまでと変わりありませんので、ご注意ください。
診察室での収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合に、高血圧と診断されます。
頭痛・めまいには要注意?
高血圧の症状
高血圧は、初期症状がほとんどありません。進行してから、頭痛やめまい、肩こりといった症状が一部の症例で見られる程度です。
そしてこれらの症状は、他の病気やちょっとした体調不良などでも見られることから、高血圧を疑う人は多くありません。
原因不明の頭痛、めまい、肩こりが続くといった場合に、「もしかして高血圧かも」と疑う知識を持っていることが、高血圧の早期発見や早期治療に繋がります。
もちろん、定期的に血圧を測ることも大切です。
高血圧の合併症
高血圧は、血管にかかる血流の圧力が高くなる病気です。そのため、全身のさまざまな臓器で合併症を起こす可能性があります。
脳
脳の血管で動脈硬化が進行することで、以下のような病気の合併が懸念されます。
脳出血
脳の細い血管が破れて出血する、命に関わる病気です。
突然、頭をバットで殴られたような激しい頭痛に襲われます。
脳梗塞
脳の血管が詰まってしまう病気です。詰まった先の組織が壊死することで、片側の手足のしびれ、呂律がまわらない、視野の欠け、めまいなどさまざまな症状が現れます。また、後遺症が残るリスクもあります。
認知症
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害を原因として、認知症を発症することがあります。
血管
大動脈瘤、大動脈解離、閉塞性動脈硬化症などの合併症があります。
大動脈瘤
慢性的に血管に負荷がかかることで、大動脈が瘤のように膨らむ病気です。
大動脈瘤ができただけではほぼ無症状ですが、破裂した場合には強い痛み、大出血をきたし、最悪の場合には命を落とします。
大動脈解離
大動脈の壁を構成する3層のうちの中膜が裂け、血液が流れ込むことで通り道が2つできる病気です。胸部や腹部の激痛をきたし、最悪の場合には命を落とします。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化が進行した足の血管が詰まるなどして、血流が不十分になる病気です。
歩行時の足の痛み・しびれ・冷感、間欠跛行などの症状が見られます。進行すると、安静時にも足の症状が続きます。
心臓
心臓の合併症としては、狭心症や心筋梗塞が挙げられます。
狭心症
冠動脈が狭くなり、心臓に十分な血液が供給されなくなる病気です。
胸の痛み、締め付け感などの症状が見られます。
心筋梗塞
冠動脈が詰まり、心筋の一部が壊死する病気です。
強烈な胸の痛み、締め付け感、動悸、冷や汗などの症状が見られます。一刻も早い治療が必要です。
心不全
狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症などを原因として、心臓の機能が低下した状態です。全身の臓器で血液が不足することで、下肢のむくみ、労作時の息切れ、動悸などの症状が見られます。
腎臓
動脈硬化が進行すると、腎臓の機能が低下し、腎硬化症や腎不全を起こす可能性が高くなります。
腎硬化症
腎臓の血管で動脈硬化が進行し、腎機能が低下した状態を指します。
毛細血管のかたまりである「糸球体」は、血流の低下によって次第に硬化し、ろ過能力の低下を招きます。老廃物のろ過ができなくなると、腎不全となります。
腎不全
本来の腎機能から30%以上低下すると、腎不全と診断されます。糸球体の網目が詰まり、老廃物のろ過・排泄が十分にできなくなった状態です。
一度障害された腎機能は、二度と回復することはありません。老廃物が体内に溜まらないよう、週3日程度の人工透析が必要になります。
高血圧の原因
高血圧の原因は、遺伝的要因と、生活習慣の乱れを主とする環境的要因に分けられます。
遺伝的要因
両親ともに高血圧である場合には約50%の確率で、両親のうちどちらかが高血圧である場合には約30%の確率で、その子どもが高血圧になると言われています。ただこの数字には、家族で同じ食事を摂る・似た生活習慣を送ることも影響しているものと考えられます。
環境的要因
塩分の摂り過ぎ
高血圧の原因としてよく知られています。塩分を摂り過ぎると、その濃度を下げようとして体内で水分が増えるため、血圧の上昇を招きます。
野菜・果物の不足
塩分を構成する原子であるナトリウムは、腎臓から排出されます。カリウムを多く含む野菜・果物の摂取が不足すると、ナトリウムの排出がうまくいかず、血圧が高くなります。
お酒の飲み過ぎ
お酒の飲み過ぎは、血圧を上昇させるだけでなく、中性脂肪を増やします。生活習慣病を予防するためには、節酒が必須です。
肥満
肥満も血圧を上昇させるリスク因子です。血液量は体重に比例するため、肥満の方は血液量が多くなります。また大きな身体の隅々にまで血液を送り出そうとするため、心臓の負担が大きくなります。
ストレス・睡眠不足
ストレスや睡眠不足は、自律神経のバランスを乱します。心臓の収縮を早めるため、血圧の上昇を招きます。
運動不足
運動不足は、血行不良を招きます。一方で全身の臓器は血液を必要としているため、心臓はより強い圧力で血液を送り出そうとします。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは、交感神経を刺激し、血圧を上昇させるホルモンの分泌を促します。
高血圧を改善するには?
治療方法
高血圧の治療でも、食事療法・運動療法が中心となります。食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られない場合には、薬物療法を導入します。
塩分摂取量の制限
高血圧の方の1日の目標塩分摂取量は、6g未満です。日本人の平均が11~12gということを考えると、そう簡単ではありません。ただ、1日の摂取量を1g減らすことで、血圧は1mmHg低下すると言われています。
外食を控え自炊中心にする、塩を控えめにして出汁や香辛料をうまく活用するといった工夫を重ね、無理なく減塩しましょう。しっかりめに味をつけた小鉢を一品だけ用意し、薄味のものと交互に食べるといった方法もあります。
カリウムを多く含む野菜・果物の摂取
カリウムを多く含む野菜・果物を積極的に食べることで、塩分の尿への排出を促すことができます。
カリウムは、野菜・果物だけでなく、海藻類、豆類、肉類、魚類などにも多く含まれています。一般的に生鮮食品に多く、加工食品には少なくなります。
ただし、腎臓機能が低下している場合には、カリウムの摂り過ぎによって不整脈が出ることがあります。医師に確認した上で、実行するようにしましょう。
アルコールを控える
お酒の飲み過ぎを控え、1日の適量を守りましょう。
純アルコールでいうと、1日の適量は男性で約20g、女性で10~15gとなります。
男性の場合、お酒に換算するとアルコール度数5%のビールで500ml、日本酒で1合(約180ml)、ウイスキーダブル1杯(約60ml)、25度の焼酎グラス半分(約100ml)、ワイングラス2杯弱(約200ml)、アルコール度数7%のチューハイ350mlに相当します。(女性の場合は男性の1/2~2/3程度で計算してください)
できる限り、上記の目安を守りましょう。もちろん、飲まないで済むのが理想です。
適度な運動
適度な運動は、直接的に血圧を下げてくれます。また減量、筋肉量のアップができれば、これも血圧を下げるのに役立ちます。
ウォーキングや軽いジョギングなど、負荷の軽い運動を継続的に行いましょう。1日10,000歩のウォーキング相当の運動量が目安ですが、運動から遠ざかっていた方にとってはなかなか難しいのが実際のところです。1日10分でも、まったくしないよりは意味があります。
医師と相談した上で、無理のない、継続できる運動を始めましょう。
適正体重への減量
肥満の方は、減量によって血圧を下げる効果が期待できます。また、降圧剤の効きも良くなります。
基本的に、BMIを基準に減量に取り組みましょう。BMIの値は、【体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】で計算できます。標準BMIは、18.5~25.0です。
食事を抜く、過酷な運動をするといった極端な減量ではなく、食事療法・運動療法を併用しながら、少しずつ減量していきましょう。
禁煙
喫煙は、血圧を上げ、動脈硬化を進行させます。
高血圧の治療を本気で頑張ろうと思えば、禁煙は必須と言えます。自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来を受診しましょう。条件を満たせば、保険適用で禁煙治療が受けられます。
質・量ともに十分な睡眠をとる
睡眠が不足している人、不眠症の人は、そうでない人よりも血圧が高くなります。
夜中になっても楽しみがたくさんある現代では、睡眠不足になっている人が少なくありません。環境を整えたり、意識・行動を変えることで、質・量とも十分な睡眠をとるようにしてください。
降圧剤(血圧を下げる)の
服用
降圧剤には、血管を広げて血圧を下げる薬と、血流量を抑えることで血圧を下げる薬があります。高血圧意外の持病の種類などによって、適切な降圧剤を選択します。場合によっては、複数の降圧剤を組み合わせることもあります。