- アレルギー症状に有効な舌下免疫療法とは
- こんな方におすすめ
- 舌下免疫療法のメリットとデメリット
- 舌下免疫療法を受けられない方と注意が必要な方
- 舌下免疫療法の副作用
- アナフィラキシーに有効なエピペンの処方が可能
- 治療の流れ
- 舌下免疫療法の費用
- 舌下免疫療法のよくある質問
アレルギー症状に有効な
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因物質を含んだお薬(錠剤)を内服することで、身体をアレルゲンに徐々に慣らしていき、アレルギー症状の改善を図る治療です。
一般的な薬物療法と大きく異なるのは、アレルギーの根本的な治療が可能という点です。現在、ダニアレルギー、スギ花粉症に対して、保険診療として実施することができます。
効果が現れるまでに数ヶ月~1年ほどかかり、3~5年の継続が推奨される治療ですが、アレルギー薬の量や数を減らせる、あるいはやめられることが期待できます。
舌下免疫療法で使用するお薬は、毎日1回、舌の裏で1分間保持してから飲み込んで内服します。
当院で処方可能な3つの
舌下免疫治療薬
※いずれも、処方できるのは5歳以上65歳未満の方となります。
アシテア
ダニアレルギーに対して使用する錠剤です。
エキスの濃度がミティキュアの約6倍であり、より高い効果が期待できます。
シダキュア
スギ花粉症に対して使用する錠剤です。
ミティキュア
ダニアレルギーに対して使用する錠剤です。
こんな方におすすめ

- スギ花粉症、ダニアレルギーでお悩みの方
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が辛い方
- アレルギー薬(内服薬・点鼻薬)による治療が効きづらいと感じる方
- 体質を改善し、アレルギー薬を減らしたい・やめたい方
- アレルギー薬の副作用が気になる方
- アレルギー症状が仕事、勉強、スポーツに支障をきたしている方
- 将来的に妊娠した時、アレルギー薬が使えないことが心配な方
舌下免疫療法のメリットと
デメリット
舌下免疫療法には、体質を改善し、スギ花粉症・ダニアレルギーを根本的に改善できるという大きなメリットがあります。
一方で、デメリットがないわけではありません。メリット・デメリットについて十分にご理解いただいた上で、治療を受けることが大切です。
ご不明の点がございましたら、お気軽に医師にお尋ねください。
メリット
- 体質を改善し、スギ花粉症、ダニアレルギーを根本的に改善することが可能
- 将来的にアレルギー薬の量を減らせる、やめられることもある
- 従来の治療と比べて、通院回数が少なくて済む
- 3~5年で効果がしっかり出れば、舌下免疫療法を終了後も、効果が持続する
- スギ花粉症、ダニアレルギーの治療として保険が適用される
デメリット
- 年間を通して、毎日内服する必要がある
- 効果が現れるまで数ヶ月~1年ほどかかる
- 少なくとも3年以上の継続が推奨される
- 服用前後の2時間は、激しい運動、入浴、飲酒ができない
- 全体のうち20~30%の症例で、効果が認められない
舌下免疫療法を
受けられない方と
注意が必要な方
受けられない方
- スギ花粉症、ダニアレルギーではない方
- 重度の気管支喘息の方
- がん、免疫系疾患がある方
- 4歳未満の方、65歳以上の方
注意が必要な方
- アレルゲンを使った治療、検査などでアレルギー症状が出たことのある方
- 気管支喘息の方
- 妊娠中の方、授乳中の方
- 抜歯後の方、口の中に傷や強い炎症がある方
- 重症の心疾患、肺疾患、高血圧症がある方
- 非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬などを使用中の方
- 全身性のステロイド薬の投与を受けている方
舌下免疫療法の副作用
舌下免疫療法には、これまでに以下のような副作用が報告されています。通常、これらは一時的なものですが、長引く場合、他に異常を感じた時には、すぐに当院にご連絡ください。
また、これらの副作用は主に治療を開始してすぐの時期に現れます。治療を継続していくことで、副作用は起こりにくくなります。
- 口内炎、口の中のかゆみ、舌の腫れ
- 唇の腫れ
- のどのヒリヒリ感
- 耳のかゆみ
- くしゃみ、鼻水
死亡例は現在のところ報告されていませんが、1億回に1回の頻度で、アナフィラキシーショックを起こす可能性があると言われています。
アナフィラキシーに有効な
エピペンの処方が可能
当院はエピペン使用登録施設です

当院では、アナフィラキシーが起こった時に症状の悪化を抑制し、ショック状態を防ぐためのお薬「エピペン」の処方に対応しております(使用登録施設)。
過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方など、舌下免疫療法によってアナフィラキシーを起こす可能性がある場合には、エピペンを処方いたします。
エピペンは、自己注射薬です。取り扱い・使用方法についても詳しくご説明いたしますので、安心してご相談ください。
治療の流れ
舌下免疫療法の基本的な流れをご紹介します。
1問診・診察・診断
問診では、症状、既往歴・家族歴、服用中の薬などについて詳しくお伺いします。
その上で診察し、血液検査、スギ花粉症・ダニアレルギーの診断を行います。舌下免疫療法が適していると判断できた場合には、十分なご説明を行い、治療へと移ります。
2初回投与
初回の投与は、練習を兼ねて院内で行います。
30分ほど院内でお過ごしいただき、体調に問題なければお帰りいただけます。
3増量期
2回目以降は、毎日ご自宅で内服していただきます。
最初の2週間は、少しずつお薬の量を増やしていく増量期となります。
通常、2週間後にご来院いただき、副作用の出方などを確認します。
3維持期
3週目以降は、毎日同じ量の内服を継続します。
定期的にご来院いただき、医師が診察を行います。
治療期間は、3~5年が推奨されています。
舌下免疫療法の費用
スギ花粉症、ダニアレルギーに対する舌下免疫療法には、保険が適用されます。
3割負担の方の場合、初診の日は4,000~5,000円程度、その後の定期的な通院ではお薬代を含めて2,000~3,000円程度のご負担となります。
舌下免疫療法のよくある質問
スギ花粉症、ダニアレルギー以外には効かないのでしょうか?
スギ花粉症、ダニアレルギー以外のアレルギーについては、舌下免疫療法よる効果は期待できません。また、保険が適用されるのは、スギ花粉症またはダニアレルギーに対して舌下免疫療法を行う場合に限られます。
定期的な通院の頻度はどれくらいになりますか?
原則として、1ヶ月に1回程度の通院が必要です。治療の効果、副作用の状況などを確認する必要がございますので、ご協力をお願いします。
飲み忘れた場合、効果はリセットされますか?
ある調査によると、1週間に5日以上の内服を行えば、効果が現れる可能性があると言われています。もちろん、毎日飲むのが基本であり理想です。ただ、飲み忘れたからといって効果がリセットされるということはありません。
スギ花粉症とダニアレルギーを、舌下免疫療法で治療することは可能ですか?
はい、可能です。ただし、治療開始時期を1ヶ月以上、あける必要があります。また、スギ花粉症に対して使用するシダキュアは、5月連休明け~10月くらいに使用を開始する必要がございます。