甲状腺とは
甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。
甲状腺ホルモンは身体の代謝、成長などを調節する働きを持っています。
甲状腺はどこにある?
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある臓器です。チョウチョが羽を広げたような形で、気管を包み込むように位置しています。
4cmほどの大きさがありますが、薄くやわらかいため、通常は皮膚の上から触っても分かりません。ただ、甲状腺の病気などで甲状腺が腫れると、外からも触れるようになります。場合によっては、一見して分かるほど腫れます。
甲状腺ホルモンとは
甲状腺ホルモンは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)に分けられます。
その分泌は脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によってコントロールされています。甲状腺ホルモンが多い/少ない場合、TSHの分泌が調整されます。
甲状腺ホルモンは主に、脈拍・体温・自律神経などの代謝、身体の成長などを適切に維持する働きを持ちます。
甲状腺と内分泌の関係
甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌する臓器として内分泌と深く関わっています。甲状腺ホルモンの量が多すぎる、少なすぎるといったことが、内分泌疾患の原因の1つとなります。
当院では数少ない内分泌専門医が正確な診療を行います
当院には、国内でも数少ない、日本内分泌学会専門医が在籍しております。
豊富な経験、専門的な知識を活かし、正しい診断、適切な治療を行って参りますので、安心してご相談ください。
必要に応じて、他診療科、他医療機関とも連携します。
甲状腺疾患の
主な症状をチェック
甲状腺疾患には、以下のようなさまざまな症状が見られます。中には特徴的な症状もありますが、「なんとなくおかしい気がする」という場合にも、お気軽にご相談ください。
- 甲状腺の腫れ、痛み
- 甲状腺が硬い、しこりがある
- 動悸
- 食欲不振/亢進
- 体重減少/増加
- 多汗/乾燥肌
- 暑がり/寒がり
- 頻脈/徐脈
- 手の震え
- 動作緩慢
- 疲労感、倦怠感
- 手足や顔のむくみ
- 眼球突出
- 便秘
- 発熱
- 声がれ
- 月経不順
甲状腺疾患は他の病気と
間違われることがあります
甲状腺疾患は、以下のような病気と間違われることがあります。病気を正しく鑑別、診断し、適切な治療を行うことで、症状の改善を図ります。
「治療を受けているけれどなかなか良くならない」といったことでお困りの方も、一度、当院にご相談ください。

- 自律神経失調症
- 更年期障害
- うつ病
- 糖尿病
- 高血圧
- 心疾患
- がん
- 腎臓病
- 蕁麻疹
- 認知症
甲状腺の主な疾患と
検査・治療方法
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下し、全身の代謝機能が低下する病気です。倦怠感、寒がり、体重増加、むくみ、便秘、皮膚の乾燥、抑うつなど多彩な症状が現れます。原因としては橋本病が多く、進行すると日常生活に支障をきたすこともあります。
検査
血液検査でTSH高値、FT4低値を確認し、自己免疫性の有無を抗TPO抗体などで調べます。
治療
レボチロキシンなどの甲状腺ホルモン薬を内服し、不足を補います。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が亢進する病態です。動悸、手の震え、発汗、体重減少、疲労感、いらだち、不眠などがみられます。原因にはバセドウ病や多結節性甲状腺腫、プランマー病などがあり、放置すると心不全や骨粗しょう症を引き起こすこともあります。
検査
血液検査でTSH低値、FT3・FT4高値を確認し、抗体検査やエコー検査を併用します。
治療
抗甲状腺薬、放射性ヨウ素治療、外科手術などを病態に応じて選択します。
バセドウ病
自己免疫反応により甲状腺が刺激され、ホルモンが過剰に分泌される疾患です。甲状腺の腫れ、眼球突出、動悸、発汗、体重減少、手の震えなどが特徴です。特に20~40代の女性に多く見られ、精神的なストレスや遺伝的素因が関与すると考えられています。
検査
TSH低下、FT3・FT4上昇を確認し、TRAb陽性で診断を確定します。エコー検査やシンチグラムを行うこともあります。
治療
抗甲状腺薬を基本に、放射性ヨウ素治療や手術を選択する場合もあります。
橋本病
免疫の異常により、甲状腺が自己抗体によって徐々に破壊されていく慢性甲状腺炎です。女性に多く、ゆっくりと進行するため初期は無症状のこともあります。進行すると甲状腺機能低下症の症状(疲労感、体重増加、寒がりなど)が出現します。甲状腺の腫れがみられることもあります。
検査
TSH高値、FT4低値、抗TPO抗体・抗Tg抗体陽性で診断します。エコー検査を行うこともあります。
治療
機能低下があればホルモン補充療法を行います。無症状・正常機能の場合は経過観察となります。
亜急性甲状腺炎
主にウイルス感染後に起こる一過性の甲状腺の炎症です。甲状腺の痛み、発熱、疲労感、飲み込みづらさなどが特徴で、痛みは首から耳にかけて放散します。一時的に甲状腺ホルモンが漏れ出して機能亢進症状が出ることもありますが、多くは数か月以内に自然回復します。
検査
CRP上昇、白血球増加、TSH低値、FT4・FT3高値などを確認します。エコー検査で炎症所見の確認を行うこともあります。
治療
痛みに対してはNSAIDsやステロイドを使用します。自然に治癒することが多いです。
甲状腺腫瘍
甲状腺に発生するしこりの総称で、良性と悪性(がん)があります。良性は無症状のことが多いですが、悪性の場合はしこりの増大や声のかすれ、飲み込みづらさなどが現れることがあります。悪性腫瘍には乳頭がん・濾胞がん・未分化がん・髄様がんなどがあります。
検査
エコー検査や穿刺吸引細胞診で腫瘍の性質を評価します。必要に応じてCTやMRIを行うこともあります。
治療
良性は経過観察、悪性は外科手術を検討します。再発防止に放射線やホルモン療法も行います。