- 静脈血栓塞栓症(VTE)とは?
- 静脈血栓塞栓症(VTE)の初期症状をチェック
- 静脈血栓塞栓症の原因
- 静脈血栓塞栓症の検査方法
- 静脈血栓塞栓症の治療方法
- 静脈血栓塞栓症(VTE)を予防するには
- 静脈血栓塞栓症に関するQ&A
静脈血栓塞栓症(VTE)とは?
静脈血栓塞栓症とは、ふくらはぎや太ももなどの下肢で生じた血栓によって、血管が詰まる病気です。
大きく、下肢の深部の静脈に血栓が生じる「深部静脈血栓症」と、その血栓が下肢静脈から流されて肺に詰まる「肺血栓塞栓症」に分けられます。肺血栓塞栓症については、命にかかわる病気です。
以前は日本人には起こりにくい病気と考えられていましたが、現在では欧米人などと比べても特に差がないことが分かっています。
静脈血栓塞栓症(VTE)の
初期症状をチェック
静脈血栓塞栓症は、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症に分けられ、それぞれ異なる症状が見られます。
深部静脈血栓症
- 下肢(ふくらやぎや太もも)の腫れ
- 下肢の痛み
- 下肢の皮膚の色の変化
肺血栓塞栓症
- 息切れ
- 胸痛
- 血圧低下、意識消失(重症例)
静脈血栓塞栓症の原因
主な原因は3つあり、これらが重なるほど、発症のリスクが高くなります。
下肢静脈の血流の停滞
長時間の同一姿勢、水分の摂取不足などによって起こります。エコノミークラス症候群と呼ばれる通り、飛行機への搭乗がしばしば原因となります。
ただ、それ以外の乗り物の長時間利用、ギプスによる下肢の固定、寝たきり、妊娠、避難所生活・車中泊などによって下肢静脈の血流が停滞し、静脈血栓塞栓症を発症することもあります。
血液の固まりやすい状態
経口避妊薬(ピル)、ホルモン剤などの薬の副作用によって、血液が固まりやすい状態にあると、それだけ血栓が生じるリスクは高くなります。
下肢静脈の内側の
細胞の障害
一部の抗がん剤の副作用として、血管の内側の細胞が障害されることがあります。
静脈血栓塞栓症の検査方法
深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症が疑われる場合には、以下のような検査を行います。
血液検査
血栓の程度を調べることができます。
下肢静脈超音波検査
足の血栓の有無や位置を調べることができます。
心臓超音波検査
肺血栓塞栓症が疑われる場合に行われる検査です。
血栓による心臓や肺への影響を調べます。
CT検査
全身の血栓の有無や正確な位置を調べるためには、造影剤を用いたCT検査を行います。
静脈血栓塞栓症の治療方法
主に、以下のような治療を行います。
薬物療法(抗凝固療法)
血液をサラサラにする抗凝固薬の使用が中心となります。
軽症であれば、外来通院での治療も可能です。
血栓溶解療法
肺動脈の血栓が多く、ショック状態に陥っている場合など、組織プラスミノーゲン・アクチベーターという強い溶解薬を用いて血栓を溶かします。
血管内治療(血栓破砕術)
カテーテルを用いて血栓を吸い取り、砕くという治療です。症状が劇的に改善します。
外科的手術
肺動脈の血栓が多い場合、重症の場合には、外科的な手術で直接血栓を取り除くことがあります。
手術が必要になった場合には、高次医療機関と連携します。手術後は、当院のリハビリテーションをご利用ください。
下大静脈フィルター留置
薬物療法などができない場合には、腹部の静脈にフィルターを張る治療が行われることがあります。フィルターにより、血栓が肺動脈へと飛ぶことを防ぎます。
静脈血栓塞栓症(VTE)を
予防するには
静脈血栓塞栓症は、予防のための対策が可能です。特に過去に静脈血栓塞栓症になったことがある方、静脈血栓塞栓症の家族歴がある方は、再発・発症のリスクが高くなります。
下肢の運動
飛行機などで長時間同じ姿勢になる時には、座ったままかかとを上げる・足首を回すといったことで血液が停滞しないようにしましょう。飛行機の搭乗中は基本的に座ったままですが、トイレに行くだけでも血栓の予防になります。
また寝たきりの方、ギプス固定をしている方なども、可能な範囲での下肢の運動を行いましょう。
弾性ストッキングの着用
医療用の弾性ストッキングを着用することで、下肢を圧迫し、血液の停滞を防ぎます。
その他
血液をサラサラにする抗凝固薬を予防的に使用することもあります。
また寝たきりの方の場合、ベッドの上でふくらはぎを圧迫する機械を使用することがあります。
静脈血栓塞栓症に関するQ&A
静脈血栓塞栓症は何科で診てもらえますか?
下肢の腫れ、痛み、皮膚の色の変化といった静脈血栓塞栓症の症状が見られる場合には、循環器内科の受診をおすすめします。
症状が強く現れた場合には、救急外来の受診が必要になることもあります。
血栓症と塞栓症の違いは何ですか?
血栓症とは、血栓によって血管が閉塞し、手足など末梢の血管の循環不全と臓器障害が起こった状態を指します。
一方の塞栓症は、血栓が血流によって流され、肺など他の臓器において血管が詰まり、臓器障害が起こった状態を指します。
深部静寂血栓症と下肢静脈瘤の違いは何ですか?
下肢静脈瘤は、下肢の浅い位置にある静脈が瘤のように太くなる病気です。対して深部静脈血栓症では、ふくらはぎや太ももといった下肢の深い位置にある静脈で血栓が生じる病気です。
下肢静脈瘤とは異なり、血栓が飛んで肺に詰まると(肺血栓塞栓症)、命を落とす危険があります。
弾性ストッキングは血栓予防に有効ですか?
はい、血栓の予防、つまり深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の予防に有効です。下肢を適度に圧迫することで、血流が改善し、血栓が発生しにくくなるのです。
特に静脈血栓塞栓症の既往歴や家族歴がある方は発症・再発のリスクが高くなるため、予防の1つとしてご検討ください。